Q,住宅手当は残業手当の基礎賃金から除外してもいいの?

 

A,名前が住宅手当となっているだけではダメです。支給方法が住宅に要する費用に応じて算定される手当となっている住宅手当であればOKです。

 

 サービス残業の問題は多くの中小企業で悩むポイントです。未払いである点もさることながら、その計算方法も争点となります。

残業代の計算を正確に行おうとすると非常に難解なため、時間計算どおりに適正に支払っている場合であっても残業単価の算出方法がそもそも間違っていることも多々あります。

 その原因の一つが割増賃金の算定基礎賃金のとらえ方によるものですが、割増賃金の基礎から控除できるものについては以下のあげられるものだけが例外的に除外できることとされています。

 

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金など)

・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

 上記の手当で分かりにくいのが住宅手当であり、除外できる住宅手当と除外できない住宅手当が存在しています。

 というのも、この住宅手当は平成11年10月より新たに算定基礎賃金から除外できる手当として追加されたものであるため、古い就業規則のまま賃金規定を変更していない場合、法律上は含めなければいけない規定になっているにも関わらず、実務上は算定基礎賃金から除外していることがあります。

 このような場合には、当然ながら監督署からの是正勧告の対象となりますし差額については遡って支払う必要も出てきます。

 

 以下に、具体的な内容を示しますので、是正勧告を受ける前に自社の賃金規定と照合し、不適切であれば手当の支給基準を見直すべきかと思われます。

 

 【 除外される住宅手当の具体的範囲 】

 ・割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいうものであり、手当の名称の如何を問わず実質によって取り扱うこととされています。

・住宅に要する費用とは、賃貸住宅については、居住に必要な住宅の賃貸のために必要な費用、持家については、居住に必要な住宅の購入、管理等のために必要な費用をいいます。

・費用に応じた算定とは、費用に定率を乗じた額とすることや、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くすることをいうものです。

・住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用に関わらず一律に定額で支給される手当は、ここでいう住宅手当には該当せず算定基礎賃金に含めなければいけません。

 

 

>算入しなくてよい住宅手当の例

 ・賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給することとされているもの。

・家賃月額5~10万円の者には2万円、家賃月額10万円を超える者には3万円を支給することとされているようなもの。

 

 

>算入しなければならない住宅手当の例

 ・賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給することと一律に定額で支給されているようなもの。

・扶養家族がある者には2万円、扶養家族がない者には1万円を支給などと住宅以外の要素に応じて定率または定額で支給されているようなもの。

・全員に一律に定額で支給することとされているもの。

 

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